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Sounds perfect Wahhhh, I don’t wanna
sugarill

エンジェル・ハート

sugarill

 私はこの街が嫌いだ。

 人間は本音を言うとき、一番素直な時と矮小なときにわかれる。私はいつも、自分のことを言うと馬鹿にされる。自分でも何をいっているのかわからないときがしょっちゅうある。何を考えているのかわからないともいわれる。そして、私は自分も大嫌いで、納得できていない。

 目玉焼きにはケチャップをつける。絶対に。

 クラスメートが話している声が一番苦痛だった。私はいつもそういう時、ガムを噛んだり机の中を無駄に整頓して過ごした。中でも私は、佐伯という男が一番苦手だった。いつもパンばかり食べている男だった。微妙に目が茶色だった。

 二学期に、私は微妙に不登校気味になった。雨のひどかったある日、私は漫画を買いに出かけてしまっていた。11月ごろで、寒くて、赤いマフラーを口元まで巻いて、ビニール傘で歩いていた。

 すると、現れた。佐伯翔が。午後4時、妙に薄暗いはずのこの時間に、彼は妙に光っていた。それもそのはず。彼は頭に天使の輪っかのようなものを付け、背中には雨水でびしょびしょになり萎んだ羽根を二股に広げていた。彼は傘もささず、ただ雨の中じっと、まるで私を待っていたみたいに直立していた。

「朝野さん」

「はい」

「何を買ったの?」

「パンの作り方……」

 佐伯翔、サッカー部のキャプテン。明るく人気者。切れ者と有名で、高校生とは思えない言動をたまにする。甘いものが好きで、バレンタインにはたくさんの人からチョコレートをもらう。けれど彼女ができたことがないことで有名だった。

「俺、さっきそこの曲がり角で事故っちゃった」

「……」

「なんか、寒いね」

「私、11月のこの時間帯のこの感じ、嫌いじゃない」

「俺もだよ」

 はっと彼の方を見ると、明るさはもう消えていた。誰もいなかった。せつないくらいに雨だけがそこにはあって、私は、やっぱり、この街が嫌いなわけじゃなくて、この街をよく知らなくて、馴染めないから怖いんじゃないかってことに気づき始めていた。